GA-8IEX の修理と安定化
8月のある日、会社の同僚が
「例のコンデンサが液洩れして動作不良なマザーボードがあるんですが直して使います?」
と Gigabyte の
GA-8IEX
をくれた。御多分に洩れず例の劣化コピー粗悪コンデンサ
GSC LE 3300uF/6.3V と GSC RE 330uF/35V が大量に液洩れを起こしていた。
[Sep.1, 2004]
[fig.1 液洩れコンデンサ]
なんか、トラ技にコンデンサの記事を書いてからというもの仕事と原稿書きの合間に
「夏休みの自由研究」よろしくマザーボードの安定化の実験と称して測定しつつ
コンデンサの交換や追加をしまくってたので、そんな話になってしまったようだ。
GA-8IEX は i875/865 chipset 以降の時代のマザーボードに比べると随分と端折ったというかヤワな作りになっているけど、
まぁ、Pentium4 がここまで大飯食らいになるとは現実の設計として想像しにくかったんだろうなぁ、とちょっと
Gigabyte の設計者には同情しなくもない。
とは言え粗悪コンデンサによる故障は安易な部品調達の結末なので資材調達/評価責任者には同情の余地は無いかも知れない。
ともかく、ちょうど諸般の事情で Windows98SE 用マシンが必要だったので治してみることにした。
まず、GSC LE 3300uF/6.3V が入っている所を全部 Nichicon HN 3300uF/6.3V (UHN0J332MHM6) に交換。
GSC RE 330uF/25V が入ってるところを Sanyo MV-WX 1000u/6.3V や 日ケミ KZE 1000u/6.3V や 日コン HV 1000u/10V 等に交換。
Vcore レギュレータ2次側の Panasonic FJ 1500uF/6.3V は見た所問題なさそうだが念のため
Sanyo SEPC 680uF/4V (4SEPC680M) と ルビコン MBZ 1500uF/10V の組合せに交換した。
容量や位相補償的にも問題無いので全部 SEPC でも良さそうなものだが比較的高価だし、HN 3個と SEPC 4個で 1mΩ 程度の ESR と 33A 以上の許容リプルが得られるので良とする。
1次側に入ってた CHOYO XR 1500u/16V は ルビコン ZLH 1500uF/16V (16ZLH1500M) に交換した。
それと、CPU ソケット周りに圧倒的に不足している積層セラミックコンデンサも空いているパッド全部に
太陽誘電の 22uF/6.3V (JDK316BJ226ML) を付け足した。
AGP スロット横の小容量ケミコン CHOYO MR 100u/10V も 日ケミ KMG 220u/16V に交換した。
(注:部品は全部、手元にある奴を使ったので必ずしも最適なものとは言えない。)
この段階で一度基板洗浄をして、マザーボードと一緒にもらった Pentium4 2.53GHz を入れ、
Samsung の DDR400 256MB のメモリーを2枚差しで動作確認をしたところ定格動作 Vcore=1.50V, FSB133MHz, DDR266-2-2-2-5 は問題無しになった。
Vcore=1.55V だと FSB140MHz, DDR280-2-2-2-5@Vmem=2.6V で 24時間 Prime95 torture test で問題なし(Ta=26〜31℃)。
ところが、同じメモリーモジュールを1枚追加して、256MB * 3 にしたとたん定格動作もぎりぎり
な感じになってしまう。
よくよくマザーボードを見直すとメモリー周りのデカップリングも不十分っぽい。
(ついでに言えば Intel と違って 4素子入りのセラミックコンデンサの使い方も判っちゃいない。)
そこで、メモリ電源周りに KMG 220u/16V を交換を含めて 5個、終端電圧用に 2.2u/16V の積層セラミックを 2箇所追加したところ、
定格動作はもちろん、Vcore=1.55V, FSB140MHz, DDR280-2-2-2-5@Vmem=2.6V でも Prime95 torture test で 24時間 安定動作を確認できた。
[fig.2 修理後のマザーボード (ピンクの枠が修理箇所、画像はクリックすると大きくなります。) ]
とりあえず、Vcore=1.575V, FSB145MHz, DDR290-2-2-2-5@Vmem=2.6V でも 22時間以上大丈夫なのを確認
(Ta=26〜31℃, Tjmax=54℃)、試験中の Vcore も 1.51±10mV で問題無し。定格動作に戻して再生完了。
めでたし、めでたし [Y/n] ?
[追記 Jan. 24, 2005]
後日、メモリーを同じく頂いた ADATA の PC2100-512MB (DDR266-75ns) 2枚にダウングレードしたが、
これでも Vcore=1.575V, FSB145MHz, DDR290-2.5-3-3-7@Vmem=2.6V で
Prime95 torture test で 24 時間安定動作が確認できた。
[追記 Dec. 28, 2007]
ところが…最初の修理から3年ほど経ってからのことだが…さっき埃掃除をしてたら、
また HN 3300uF/6.3V に交換したパワー FET の隣のところの
Vcore 2次側用コンデンサ3本がパンクしてた。
HN の寿命はそんなには長くない (2000h@105°C) のだがそれにしても液洩れまで行くのは変な気がする。やはり場所的にリプル電流的にも熱的にも厳しかったのか?
釈然としないがなんか悔しいので、もうそろそろリタイアさせたいマシンなんだけど、
この3本をとりあえず手持ちの Nichichemi の 6PS680MJ12
(10mω 5.5A, 2000h@105°C) に交換してもうしばらく使うことにしてみた。
[追記 Jan. 16, 2009]
その後滞り無く動作し続け新春に退役しました。
© 2000 Takayuki HOSODA.