BA8000 Pro のメンテナンス
BA8000 Pro

2009年の年明け早々、新年の挨拶のついでに会社の同僚が

 「BA8000 Pro のコンデンサもそろそろヤバいみたいですよ?」

と教えてをくれた。あの時代の粗悪コンデンサの寿命が来てるらしい。
BA8000 Pro は必要にして十分な性能と機能でうちみたいなとこには実に丁度良い。
なので買い替え先を悩む前に BA8000 Pro を開けてみることにした。

ネジ4本でばらせるらしいので開けてみたところ怪しそうなコンデンサが。

[fig.1 オンボード電源部分]
on-board regulators

外して調べてみたところ、物の見事に容量抜けしていて 470μF が 30μF 足らずに、 1000μF が 40μF 足らずになってしまっている。

[fig.2 容量抜けしてる 470μF/25V] [fig.3 容量抜けしてる 1000μF/10V]
faulty TOCON 470u faulty TOCON 1000u

あぁ、よくぞ今までご無事で…ということで急きょ手もとの部品で修理した。
まず、電源入力の TOCON 470μF/25V が入っている所を、リードピッチは違うが 寿命と在庫の都合で日ケミ KZE 470μF/25V (105℃, 4000H, 1.43A, 38mΩ) に交換した。
3.3V 系のスイッチング電源出力のところは TOCON 1000μF/10V を nichicon HV 1200μF/6.3V (105℃, 6000H, 1.33A, 46mΩ)に交換。
2.5V 系の低ドロップアウトレギュレータ出力のところの TOCON 100μF/16V もついでに交換しておきたい。
ここのコンデンサは ESR が低すぎると不安定動作の恐れがあるので、 日ケミの長寿命品 KY 220μF/10V 辺りにしたいところなのだが、
手元の部品の都合で結局、日ケミの小型汎用品 KMG 220μF/16V (105℃, 1000H, 180mA, tanδ=0.2) に交換した。

[fig.4 コンデンサを交換したところ]
 replaced capacitors
基板洗浄をして組み付け電圧チェックして完了で、作業時間は1時間ちょい。
電圧波形も特に問題なく、動作やリンクの安定度も今のところ問題無いようだ。
(DMM で測ると 3.3V 系は 3.31V、 2.5V 系は 2.52V くらいだったので、オシロの 1V レンジの平均電圧表示は DMM に比べて 0.1V くらい高めに表示されてたみたいだ。)

[fig.5 DC12V 入力電圧波形] [fig.6 3.3V 出力電圧波形] [fig.7 2.5V 出力電圧波形]
12V line wave form 3.3V line wave form 2.5V line wave form

図らずも書初めならぬ半田初めになってしまい、立ち登るフラックスの煙に、

「今年も一年故障が起きませんように」

と電子の神様に祈ってしまった。さぁて、神田にでも行くか。
[Jan.16, 2009]

後日、予備用に調達した2台目のも交換してしまった。
3.3V 系の所のコンデンサは SANYO の導電性高分子コンデンサ SEP 470μF/6.3V (6SEP470M, 105℃, 3000H, 4.21A, 15mΩ) に変更した。

[fig.8 コンデンサを交換したところ]
BA8000 Pro capacitor replacement

電源各部の電圧波形もまた確認。
[fig.9 DC12V 入力電圧波形] [fig.10 3.3V 出力電圧波形] [fig.11 2.5V 出力電圧波形]
12V line wave form 3.3V line wave form 2.7V line wave form

[Jan.20, 2009] 追記

サーミスタでざっと各部の温度を測ってみたら、各コンデンサの頭で周囲温度 Ta+20℃ 程、
U23 のフランジにおいては Ta+36℃と思いの他熱いので、その場しのぎ的だが熱対策を施した。
コンデンサなどの裏に熱伝導性ゲルシートを張り、基板下の本体裏側に熱拡散用の銅箔 を張った。

[fig.12 電源回路裏に熱伝導性ゲルシート] [fig.13 熱拡散用の銅箔]
thermal conductive gel sheet copper film

サーマルパッドが足らなくて一番熱くなっている U23 は ケミカル部品じゃないけど基板には厳しいので、
悩みどころだったが、 結局、気休め程度のチップヒートシンクを熱伝導性接着剤で張り付けてやる事にした。

[fig.14 LDOレギュレータのヒートシンク]
chip heat sink

対策後の各部の温度はおよそ次のようになった。

Ta  : 25℃
----------
C11 : 32℃
C37 : 34℃
U9  : 35℃
C32 : 37℃
L3  : 41℃
U24 : 41℃
U22 : 42℃
D11 : 43℃
U23 : 47℃
U12 : 45℃
U19 : 50℃
コンデンサには効果てきめんで、 10℃前後温度を下げる事ができて熱くなくなった。
U23 も対策前の Ta+36℃ から対策後の Ta+22℃ とそこそこ温度を下げることができた。

これでまた数年放置メンテナンスフリーで使えると良いな。
[Jan.24, 2009] 追記

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