りゅかのもて耐観戦記
もて耐本戦の朝3時半、夜明け前。友人達と鶴見のある場所で待ち合わせ。
「こんなに朝早くにみんなちゃんと来るかな。」
もてぎに持っていくもの・応援魂・と待ち合わせの目印に私のZX9Rの
テールに梨本圭・モリワキしょうご・小山純たちのゼッケン#199を張って
集合場所に行く。
「すごい、みんな時間ぴったり。」
軽く朝食を食べて、東の空が白み始める頃に出発。首都高湾岸線からC2、
三郷を経て友部SAに向かう。途中、ちょこちょことバイクの集団を追い抜い
たり、抜かれたりして見かける。
「今日は、みんなもて耐久行きかなぁ。」
空気がひんやりとして気持ち良い。友部SAの一つ前のSAでコーヒーブレーク。ここで、他の仲間と遭遇した、
けれど、
「あまり時間が無いので先に行ってるね。」
夜が明けて一時間半程たったころ、友人達と友部SAについた。すごい。
50台程の色とりどりのバイクが、みんな、Nancy達の応援のために集まっ
ている。各地から。こんな早朝に。応援の横断幕もある。Nancyのレーサー
としての魅力と、その素敵な人柄がこれだけの人たちを集めるんだ。サーキット
入り口前でNancyと別れて、観戦席へ。
ピットウォークで、Nancyにサインをキャップにしてもらう。つじさんに
も書いてもらった。レース開始直前にピット裏にまた行くと、ツナギに着替え中
のショウゴくんと純くんがいた。
「忙しいところ、申し訳ないんですけど、サイン頂けませんか? 3人分揃っ
てなきゃって思うから。」
「えっ、俺、かっこいいサインってできないから普通でいい?」
って純くん。ローマ字で書いてくれた。そうしたら、しょうごくん。
「おっ、すげーっ、アルファベットじゃん。俺なんかひらがな!」
って言って
ひらがなで、しょうご、って書いてくれた。なんか二人ともすっごく可愛いいの。
走ってる時は、やっぱレーサー。かっこいいのに。
「応援してる!がんばってね!」
って言って応援席に戻った。そして、レースが始まる。
序盤、すばらしいスタートを切った#199第一ライダーしょうごくん。でも
接触でもしたのか、すぐピット入り。復帰してからしばらく様子見っぽかったけ
どだんだんペースがもどってきた。がんばってる。かっこいい。
Nancyに代わってからがすごい。22位くらいから毎週順位が上がってる。
同一周回のバイクを周回遅れをパスするように抜いていく。あれっ、抜かれてる
バイク青旗振られてる…わけじゃないのに。なんかNancy、#1しか気にし
ていないっていうか、他のは気にも留めていないように見える。バトルしてるん
じゃなくて、まるでパイロン扱い。こんな抜き方された方はショックだろうな。
私がレーサーだったら「すいません、顔洗って練習して出直してきます」って感
じだな。でもすごく安全に抜いてるの。8耐に出てたGPライダーみたいに蹴散
らすような走りじゃない。風のように抜いている。
純くんもがんばる。あの時間集中力が切れないのがすごい。ちょっと遅いけど
安定した周回を重ねてる。スムーズで無理してるように見えないのはNancy
のチームはいつでもそう。スムーズ&クール。これが梨本塾なのか。かっこいい。
終盤、ストレートエンドで見ていた。#1のストレート速度圧倒的に速い。な
んで同じAC91Mでここまで違うの?減速を始めると空気の固まりが襲ってく
るような錯覚に陥る。ストレートエンドの速度5km/hくらい違うんじゃない?
で、ここでNancyの凄さがわかった。Nancyってストレートでも(じゃ
負けてるようにみえる)コーナーでも(コーナリング速度は#1と同じくらいに
見える)ないところでタイムを縮めてる!だから、ほとんどラップタイムが違わ
ない。微妙に速い引き起こしでちょっとでも速く加速体制に入ってる。ちょっと
でも無駄なステアしないように一発で決めている。コーナー進入から立ち上がり
まで修正舵っぽいのがほとんど無い。タイトロープを渡っているような感覚が伝
わる。息を呑んで見守っている。どこで見てても無駄なサスの動きが少ない。
すごいすごい。熱いレースをクールに自分の走り方で走るNancy。感動する。
チェッカーフラグまで、あと10周くらい。現在2位走行中のNancy。ど
う計算しても#1には届かない。くやしい。勝ってもらいたいけど、このころに
なるともう、無事に帰って来て、って気持ちで気楽な応援団のみんなと見守る。
#1がゴールする。チェッカーフラグが振られた。約1分遅れて#199、
最終走者Nancyがゴールする。すっごくくやしそう。でも私たちは喜んでい
る。3人とも素敵な走りをしていた。無事に帰ってきた。2位でも優勝したみた
いに嬉しい。
パレードランが始まって、みんなのバイクもコースにいっぱい入って行く。
これがもて耐なんだな。みんなで楽しむ夏のレース。#1を先頭にみんながホー
ムストレートに戻ってくる。あれっ?Nancyの姿が見えない。ほとんど全部
戻ってきた。Nancyがいない。っと思ったら一番最後に現れてピット前で
加速、FCC−TSRのピット前で大ウイリー!うわあああっ。くやしそうー!
レース中はクールなNancyのホットな瞬間だった。
表彰式が始まる。色々な、応援に来た人たち、チームクルー、ライダー、カメ
ラマンが集まる。応援の横断幕をみんなと一緒に持って表彰台の前に行く。
日が暮れて表彰台の上とその周りには喜びと感動と楽しさと安堵があった。
© 2000 Takayuki HOSODA.