横須賀スコール
Updated on Sep. 23, 2005

曇りの横須賀リサーチパークからの帰り道。
佐原ICから横横に入り、加速する。
7秒後、4速1万回転を越え、逡巡し、6速8000回転で巡航する。

911をみつけ「横須賀にはカレラがやっぱ似合うよな」と思いながら、ランデブーする。
2つのエグゾーストノートが和音を奏で、緑の中にこだまする。

横須賀のトンネルが迫る。
湿った空気を9Rのフェアリングにまとわりつかせながらトンネルに飛びこんだ。
重苦しいトンネルを抜けるころ、目の前に灰色のすり鉢状に不気味に淀む風景が迫ってきた。

抜けた。

突如、ウォーターバリアーに突っ込み方向間隔を失いかける。
滝のような雨。白色に輝く稲光が縦に斜めに壊れた空気を刻んでいる。
路面を一瞬見失う。
空気との境界が曖昧になる。
梨耐用にセティングされていた9Rは、道路を掴もうと、怒涛の雨に阻まれ、もがいている。
さっきのポルシェが、雨の中のみずすましのように煙っている。

涼しさを感じようとした。

海で遭難しかけたときに、とりあえず海水浴を楽しむ気分。
だが、その気分さえも眼前に現れたいくつものハザードランプと真っ赤に光る水面に砕かれた。
雨と空気の隙間に飛び込みながら辛くも減速する。

嵐の波間に浮かぶ300個程の鉄とアルミの馬鹿でかい障害物をすり抜けて、

今、本物のシャワーの待つ自宅へ帰りついた。 [Jul. 25, 2001]

© 2000 Takayuki HOSODA.
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